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日記帳

05/01/14   E線選び


さて前回はナイロン弦について、というよりA〜G線について書きましたが、今回はE線について少し触れてみたいと 思います。A〜G線に比べると弦による違いというものは少ないですが、材質が違うものに関しては音や弾き心地など 結構変わるものです。ここでは弦の材質別にその特長などを書いていきたいと思います。


<プレーンスチール>

いわゆる普通のスチール弦ですが、E線としては最もメジャーではないかと思います。銘柄を挙げるとかなりの 数になると思いますので、メーカー別に簡単にご紹介します。

まずピラストロから。ピラストロでプレーンスチールE線が設定されているのは、ゴールド、オイドクサ、エヴァピラッツィ、 オブリガート、ヴィオリーノ、トニカ・・とたくさんありますが、基本的にはスチールであればどれも同じものの ようです。ただ、標準ゲージ(Mittel)に設定されている太さがやや違うようで、ゴールド、オイドクサ、オブリガート などは標準的な0.26mm前後、エヴァピラッツィは太めの0.27mm前後、ヴィオリーノは細めの0.25mm前後となって いるようです。太さの違いはゲージ一つ分のようで、ゴールドの太め(Sterk)とエヴァピラッツィの標準(Mittel)は 同じではないかと思います。オイドクサやエヴァピラッツィ、オブリガート、トニカなどのようにアルミ巻きや金メッキ線も 設定されている弦は、あえてその銘柄のスチールを選ぶ必要がないので(ゴールドと同じなので)、楽器店などでは ゴールド以外あまり見かけないかもしれません(^_^;)。

さてこのピラストロのゴールドですが、バランスの取れた弾きやすい弦だと思います。いろいろなE線の中でも 音量、弾き心地、音色の明るさ等が標準的で、自分の楽器にどのE線が合うか分からないときは、まずゴールドを 張ってみる、というのも良いかもしれませんね。ただ、去年の弦価格一斉値上げの時にこのゴールドはなんと50%も 値上げされてしまったので、ちょっと割高な感じがします。

次にゴールドブラカットの0.26と0.27です。これもかなりメジャーで、ピラストロのゴールド以上に人気があるようです。 ブラカットの0.26はピラストロゴールドよりも若干細めなのか、やや弾きやすく素直な音に感じます。0.27の方は かなり強めの弦で、やや音が金属的だったりしますが力強さが魅力です。他のスチールに比べてややさびやすくて 寿命が短いような気がするのですが(Crの含有が少ないのでしょうか?専門家でないのでわかりません)、価格が ピラストロゴールドの半額なのは嬉しいところです。ちなみに弦のペグに巻く部分が滑り止めのためかややギザギザしていて、 ツゲのペグなどでは弦を巻いた跡がつきやすいというのは出来たら改良して欲しいところです。

ラーセンは、クセがなくピラストロゴールドに似ていて使いやすい弦です。ただ、普通のスチールにしては値段が 高すぎるのではないかという気がします。

ヒルはきれいな音のする弦です。すこしひっくり返りやすい気もしますが(特に太いゲージ)音色は良いですね。 ピラストロゴールドの値上げに伴って割高感が薄れました。

カプランのゴールデンスパイラル、ゴールデンスパイラルソロですが、普通のスパイラルはややゲージが細めなのか とてもやわらかい音がします。ブラカットの0.26よりもやわらかく感じました。やわらかい音が欲しいときには とても良いと思います。ソロの方はやや明るめで、その他の弦に近いようです。どちらもややひっくり返りやすい というのが気になりますが、金メッキ弦ほどではありません。

ウェストミンスターは0.26と0.275がありますが、0.275の方は間違いなく「最強のE線」であると思います(^_^;)。 とにかく力強く、ほとんどの楽器では強すぎて使いにくいかもしれません。楽器によっては音がつまってしまう ことがあるほどですが、このパワーはある意味魅力的であります。0.26の方も、本当に0.26?と疑いたくなるくらいで、 弦のコシも強く、他の0.27のゲージの弦に近いものがあります。でも意外と音色はきれいですね。弦の表面のなめらかさも、 他のE線より1ランク上のような気がします。力強い音が欲しいときなど、一度は試す価値があるかもしれません。

最後にコレルリヴィヴァーチェアリアンス。この弦も標準設定のゲージ(Medium)がかなり太めで、ブラカットの0.27と 同じくらい強さがあるように思います。強さを求めなければ細めのゲージ(Medium-Light)の方が使いやすいかも しれません。ブラカットに比べると少し明るさがあります。


<金メッキスチール>

スチールに金メッキを施した弦も各メーカーからリリースされています。全体的な傾向としては音に輝きがあり上質な音がする反面、 ひっくり返りやすいという欠点を持っています。なお、耐食性のある金メッキによって表面を保護されているためか、さびにくく 寿命が長いという特長があります。

ピラストロの金メッキ線はオリーヴ、オブリガート、エヴァピラッツィがありますが、このうちオリーヴとオブリガートは 同じもののようでエヴァピラッツィだけが別物のようです。

オリーヴ&オブリガートはピラストロゴールドに比べると 音の輝きと緻密さを感じます。価格はゴールドの倍以上ですが、弦の寿命はゴールドの約3倍くらいあると思うので、 コストパフォーマンスは悪くないと思います。ひっくり返りやすさは普通のスチールに比べるとかなりひっくり返りやすいと 思いますので、他の金メッキ弦が合わない場合はこの弦もおそらく合わないのではないかと思います。

エヴァピラッツィの金メッキの音色はかなり独特で、軽くて線が細いものの明るさを持ったような感じです。 ピラストロでもこの弦だけはなぜかゲージが数字で表記されていて、0.26と0.27の2タイプがあります。 なお、ひっくり返りやすさは他の金メッキに比べると大分改善されていて、通常のスチールと同じ感覚で使えます。 価格はオリーヴなどよりやや安いですが、メッキの耐久性(=寿命)は若干劣るようです。

トマスティークのインフェルド赤も金メッキですが、ピラストロのオリーヴに若干似ています。ただ、 ややこちらの方がおとなしく、金属的な感じが抑えられているように思います。ひっくり返りさえしなければ とても良い弦だと思います。同じトマスティークのスペシャルプログラムはインフェルドと似ていますが、若干 線が細いとでもいいましょうかエヴァピラッツィのような雰囲気があります。

ラーセンにも金メッキはありますが、これは使ったことがありません・・・m(__)m。




<その他のコーティング弦>

金メッキ以外にも、スチールの表面に他の金属をコーティングした弦があります。一部を除くと普通のスチールとあまり 大差ないですが(値段も音も)、中にはちょっと変わった弦もあります。

まずはトマスティークから。トマスティークにはスチールの表面にスズメッキ(インフェルド青)や シルバーコーティング(初期のe01)したような弦がいくつかあります。インフェルド青は基本的には 普通のスチールとあまり変わらないように思いますが、若干明るさが増していて輝きのある音が強調されています。 弾きやすさやひっくり返りやすさはスチールと同等だと思います。初期のe01はインフェルド青をさらに強調したような 感じでしたが、今はパッケージも変わり(白から薄紫へ)、弦そのものもスズメッキに変わっているようです。。

ヴィジョンはスズメッキですが、落ち着いた非常にやわらかい音のする弦です。ゴールデンスパイラルに似ています。 ヴィジョンチタニウムは全く別物でステンレスにチタンメッキというすごい弦ですが、ヴィジョンとは同じテンションと思えないほど 強くて輝かしい音がします。弾き心地はかなり硬質で、金メッキ以上にひっくり返りやすいように思います。 しかし寿命の長さはステンレスとチタンという耐食性にすぐれた組み合わせなだけに、ナンバーワンのようです。

ヘリコアのスチールもスズメッキされています。インフェルド青と良く似ていて、若干派手さを感じるものの普通の スチールと大きく変わるものではないようです。なお、ダダリオ社のスズメッキスチールはプロアルテ、ザイエックスなども ありますが、ピラストロ同様基本的には同じもので、標準設定のゲージ(Medium)が1ゲージ異なっているようです。 ザイエックスとヘリコアはゲージが同じで、プロアルテが1ゲージ細いようなので、ザイエックス(Medium)とヘリコア(Medium)と プロアルテ(Heavy)は同一の弦だと思います。




<巻き線>

E線には普通のスチールやコーティング弦の他に、スチールの表面にアルミやクロムを巻いた弦があります。 たいていパッケージに「Wound(巻き線)」の文字が入っていると思いますが、有名なものとしては昔からあるオイドクサの アルミ巻きなどがありますが、他にもヘリコア、トニカなどにもアルミ巻きの設定があります。異色なものとしては、 ピラストロのNo.1、カプランのソリューションといった弦もあります。

まず有名なオイドクサのアルミ巻きですが、普通のスチールに比べると明らかにやわらかな音がします。金属的な音を 減らして少し音のフォーカスを甘くしたような感じです。音量や開放弦のクリアさなどはスチールにゆずりますが、 E線がキンキンするような場合にまず試してみると良いのがこのオイドクサアルミ巻きですね。ちなみにスチールに 比べて若干ひっくり返りにくくなっているようです。トニカも同じくアルミ巻きがありますが、こちらはもう少し スチール寄りになります。ただ、細い弦の設定(Weich)がオイドクサにはなくトニカにはあるので、とにかく 耳が痛いなどというときにはトニカのアルミ巻きWeichという選択肢もあります。

ヘリコアのアルミ巻きはかなり強いテンションの弦で、やや強めのスチールと音や弾き心地が近いと思います。 アルミ巻きといってもオイドクサなどとは全く別物で、むしろ強くて太い音を目指した弦のように思います。

ピラストロのNo.1は細くて強いカーボンスチールに薄いクロムを巻いてあり、弾き心地のやわらかい弦です。 音は比較的派手ですが、弦に重さがないのか音が軽い感じがします。音色自体はかなり個性的で正直あまり好みでは ありませんが、弦が細いためヴィブラートのかかりが良いです。でもなんといってもこの弦の最大の特長は ひっくり返らないことです。普通のスチールでもひっくり返ってどうしようもないときでも、No.1を張ると ピタッとひっくり返るのが止まるほどです。そういう意味ではNo.1、非常に心強い存在であります。 ちなみに太めのゲージ(Sterk)は音の軽さも改善されて音に関しては良い感じなのですが、せっかくのひっくり返りにくさが 失われてしまっているのが残念です。

カプランのソリューションは名前(Kaplan Solutions Aluminum Wound Non-Whistling)からして「ひっくり返らない弦」と 謳っています。芯線はわかりませんが、外側にはアルミが巻いてあります。また設定がボールエンドのみで、ループエンドアジャスター用に 変なアダプターのようなものがついています。音はかなりおとなしく、オイドクサをさらにデッドにした感じです。 確かにひっくり返りにくい、というかまずひっくり返らない(No.1以上に)ですが、E線の輝きというか透明感といったものが 完全に影を潜めてしまいます。弦をはじいてもにごっていて全然響きませんし・・。でもオイドクサのアルミを張っても うるさくてしょうがない楽器などでは思わぬ良い結果が出るかもしれません。





<E線のひっくり返りについて>

いろいろ書いてみましたが、E線の場合他の弦以上によく起こることとして開放弦がひっくり返るという問題があります。 楽器によって出たり出なかったりの差が激しく、また同じ楽器でも弦のひっくり返りやすさの度合いによってひっくり返る症状が 出たりおさまったりします。とりあえず、今までの経験から弦のひっくり返りやすさを並べてみましょう。

ひっくり返りやすい

・ヴィジョンチタニウム
・オリーヴ&オブリガートの金メッキ、インフェルド赤など金メッキ弦全般
・普通のスチール、スズメッキスチール、ヘリコアアルミ巻き、エヴァピラッツィ金メッキ
・オイドクサアルミ巻き、トニカアルミ巻き
・ピラストロNo.1
・カプランソリューション

ひっくり返りにくい

楽器によってはどれでも問題なかったり、はたまた普通のスチールでもある銘柄はひっくり返るけど他のだと大丈夫、とか いろいろあるかとは思いますが、大雑把にとらえると上記の感じになるのかなと思います。

さてこのひっくり返る現象が出るかでないかというのが、弦選びで重要なポイントになります。例えば開放弦の登場する機会が 少なかったりするときには好きな弦を選べますが、Eの開放を含む和音が頻繁に登場するような曲などでは ある程度音色を犠牲にしてもひっくり返りにくい弦を選んだ方が「気持ちよく」弾けたりします。

このひっくり返るという現象の根本的な原因はよくわかりません。ただひっくり返る原理というのはわかっていて、 弦が弓の進行方向に振動していることと、弦が弓によってねじり方向の振動を起こしていることが関わっているようです。

(物理とかの苦手な方は少し読み飛ばして頂いた方が良いかもしれませんが)弦は弓の動きに対してある程度は追従して引っ張られて、 ある限界を超えるとスリップして元の位置に戻る、というスティックスリップのような状態を常に繰り返しています。 と同時に弦の上面のみを弓で引っ張っているために、弦の中心を軸にして弦のローリング、すなわちねじり振動を起こしています。 このとき、ねじり振動は弦の本来の振動とは関係がない振動なのですが、このねじり振動によって弦の正常なスティックスリップの動きを 妨げてしまった状態というのがE線のひっくり返る状態なんだそうです。 詳細はこちらの論文のFigure5以降の部分に載っています(英語)。

このねじり振動を抑えることが出来ればE線のひっくり返りを防ぐことができるわけですが、その解決法として一番手っ取り早いのが 弓で弾く弦の位置を駒寄りにするという方法です。駒寄りであれば弓の動きに対してねじり剛性が高いのでねじれ振動が小さくなり ひっくり返りにくくなりますが、これは一時的な解決法であって根本的な方法ではありません。なぜなら弦のどこを弾くかというのは 本来音楽的な要求から欲しい音色に合わせて指板寄り、あるいは駒寄りというのを決めるわけであって、やわらかな和音を奏でたいのに E線がひっくり返るのがこわいから駒寄りで弾くというのは本末転倒です。ひっくり返るのがこわくて移弦に慎重になったり、 常に駒寄りを弾いてしまうという変なクセがついてしまう可能性もありますし・・。とはいえいざ本番で絶対ここだけは ひっくり返って欲しくない、というときは駒寄りに逃げることである程度解消出来るのは事実です(^_^;)。

次に解決法は弦を替えるということです。ねじれ振動に対して抑えるような要素を持った弦、ということなのですが、 ひっくり返りにくい弦を見る限り、細い弦、巻き線、などが一つのポイントになっているようですね。 ただ、どうしてもひっくり返りに強い弦(No.1やカプランソリューション)は犠牲にしている部分もあるので、 出来ればピラストロゴールドあたりを使っても絶対にひっくり返らない方法、というのがあったら知りたいところです(^_^;)。 ねじれ振動を抑えるためには弦をちょっとねじってとりつければ弦のねじり剛性があがって振動しにくくなるかなと思ってやってみましたが、 少し効果があったかな・・・という程度で、あまり解決になりませんでした。

ということで、ひっくり返りの解決法について自分でわかっていることはここまでです(^_^;)。 ここから先は良く分からないんですよね・・・。 ひっくり返りは楽器によって差がある、ということは楽器の構造や調整によっても弦に返ってくる振動が違ってくるからなのかなと思います。 楽器の鳴りを抑えることでひっくり返るのを抑えられる、というのはあるようですが、でもこれも根本的な解決では ないような気がします。すごく良く鳴るのにE線がほとんどひっくり返らない楽器もあるわけですからね。 楽器の鳴りを変えずにE線のひっくり返りを抑える方法、なんてあったら知りたいです(^_^;)。

ちなみにE線がひっくり返るというのは、弓が斜めだったり左手がかすかにE線に触れたりしているという場合もあるのですが、 多くの場合は楽器側の問題を弾き手のせいにしてしまっているような気がします。教師は、生徒が頻繁に音をひっくり返している場合、 弾き方を指摘する前に楽器を自分で弾いてみて、楽器のせいなのか弾き方なのかをチェックする必要がありますね。

前回のナイロン弦、今回のE線、と弦についていろいろ書いてきましたが、まだまだわからないことがたくさんありますね(^_^;)。 でもわからないまでも自分でいろいろ試したことをまとめてみると、これから弦を選んだりするときにいろいろ参考に なるかもしれないと思い、書いてみました。・・・しかし見返すと長いですね今日の日記(笑)。まぁ今日の日記といっても実は 少しずつ書きためていたものをまとめただけなのですが(^_^;)。最近楽器ネタが少なく、しかも日記の更新が滞りがちだったので 少し頑張ってみました。次回は何のネタにしようかな・・・。

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