先日(9/11)、文京楽器主催でコンサート形式の新作楽器発表会
「Violino REBIRTH concert 2001 〜名器の音の再現〜」
があり、行ってきました。ヴァイオリンのコンサートは久しぶりです。
文京楽器はかなり前からオリジナル楽器「ピグマリウス」で有名ですが、最近名器の音を再現したという
REBIRTH(リバース)という楽器を発表しました。新作楽器で名器のフルコピーといえば、形だけを真似て作って「○○モデル」
というものが多いですが、REBIRTHは形、板厚、経年変化による傷や色の変化までも模倣してあり、音に関しても名器の音を
限りなく再現したものだそうです。
以前お店でこのREBIRTHシリーズのストラド、デルジェス、ガリアーノの各モデルを弾かせていただいたことが
あるのですが、確かにオリジナルの楽器の特性(といってもオリジナルを弾いたことがないので
一般的に言われている話を参考に・・)がよく出ていました。しかし自分で弾いている印象と、
客席に伝わる音の印象が違うことはよくあることなので、一度客席で聞いてみたいとは思っていました。
そこに今回の弾き比べコンサートがあったわけですが、6種類ものモデルが登場することと、実際に客席で
聴くとどのような違いが出るのかというのを確かめられる、ということでとても興味深いものでした。
ホールの席に着くとステージにはストラディバリ、アマティ、デルジェス、ガリアーノ、ロッカ、ファニオラの
各モデルが飾られていて、コンサートの最初に楽器ごとの説明をスライドを見ながら聞きました。
そして説明が終わるといよいよ実演で、拍手と共に若手ヴァイオリニストの幸田聡子さんが
弓だけを持って登場してきました。あれ?楽器は? と思いましたが楽器はステージにすでにありますからね(^_^;)。
しかし幸田さん、とても魅力的な方で思わず見とれてしまいました(^_^;)。同じく聴きに来ていた
友人たち(男性陣)もほとんど同じ状態だったようです(^_^;)。
なおゲストコメンテーターとしてN響の横山俊朗さんが来られてました。
横山先生といえば以前文京楽器に行ってREBIRTHを弾かせていただいた時に横山先生もいられて、「この楽器いいよね」「はい。でも
それほど良い楽器というのを弾いたことがないのでよくわかりません・・」「じゃあこれ弾いてみていいよ」という
具合に、初対面にもかかわらずなんとオリジナルのファニオラを弾かせて頂いたのです。あのときはあまりお礼
できませんでしたが、本当にありがとうございましたm(__)m。しかし横山先生、弓をいろいろご覧になっていた
みたいなのですが、楽器を出してウォーミングアップなしでいきなりクライスラーの「レシタティーボとスケルツォ」の
スケルツォ出だしのパッセージを目にも止まらぬ速さで弾き出した時は目玉が飛び出るほどビックリしました。か、かっこ良すぎる・・・。
家に帰って速攻真似してみたのは言うまでもありません。ピッチカートで軽くチューニングして、おもむろに構えて
「タカタッタ、タカター、タタカタカタカタカグシャグシャグシャ・・(リタイヤ)」結果は言うに及ばず・・(^_^;)。
っと話がそれました(^_^;)。コンサートの話に戻りましょう。まずはストラドモデルを基準に同じブルッフの
出だしを各楽器で弾いて、そのあと一台一台が幸田さんの手によってさまざまな曲を奏でていきましたが、
楽器のタイプによって音の印象が大きく違うのには驚かされました。特に印象的だったのはストラドモデル。
中高音がとても綺麗に伸びていて魅力的な音でした。続いて印象に残ったのがデルジェスモデル。中低音の
響きが豊かでなかなか良い音でした。そしてファニオラモデル。全域にバランスが取れていて音が通り、弾きやすそうな
イメージでした。特に印象に残ったのは以上の3モデルですが、アマティモデルの透明感のある音も耳に残っています。
異なる製作者が異なる時期、地域、年代にそれぞれ楽器を作って音の違いが出るのは分かりますが、同じ
製作者による作品でこれほどまでにオリジナルとなった楽器の音を再現しているのには驚きました。
これがまさに再現、再誕を意味する「REBIRTH」なのでしょうか。それと、楽器の音は弾いている本人ほど
客席に伝わる音の違いはないといいます。僕の感覚では <演奏者が感じる音の違い:聴衆が感じる音の違い=3:1>
くらいかなと思っています(適当ですが)。しかし以前弾かせてもらった時にモデルによって劇的に音が
違っていたのでやはりステージから客席に聞こえる音にもその違いが現れているようです。
それにしてもこのREBIRTHシリーズ、それまでの文京楽器「ピグマリウス」のラインナップにあった
最上位モデルと比べてもかなりのレベルの高さを感じます。REBIRTHには他のモデルとは違う何か
秘密があるのでしょうか? そのへんは企業秘密でしょうかね(^_^;)。あのストラドモデルの音、
本当に素晴らしいものでした(ストラドモデルが一番弾きこまれていた気もしました)。
それともう一つ印象に残ったのが、やはり幸田さんの演奏です。とてもしなやかでスピード感のある
素晴らしい演奏でした。特にツィゴイネルワイゼンには惹きこまれてしまいました。
またボウイングの返し際の躍動感は、僕の好きな韓国出身のヴァイオリニスト
であるチーユンと共通するところがあって見入ってしまいました。
僕は自分の殻に閉じこもらない、そういった演奏がとても好きです。それとピアニストも素晴らしかったです。
あのヴァイオリンとの一体感は素晴らしい限りです。
こういう企画はとても楽しみなので次の機会があればまた参加したいと思います。とても楽しかったです。
コンサートのあとは友人達とファミレスで食事をしました。みないろいろがんばっていて、僕もこの
中途半端な生活をなんとかしなきゃと改めて思いました。今まで以上に音楽と真剣に向き合っていけるよう、
がんばっていこうと思います。何から始めればいいかは分かってはいるのです・・。