普通の日記コーナー

★03/11/11   弦楽器フェア



11月7〜9日、東京の科学技術館で開催された弦楽器フェアに行ってきました。最初は8,9の両日行こうと 思っていたのですが、ちょうど実家のリフォーム準備なども重なったので、最終の9日に出かけてきました。

弦楽器フェアは国内外のヴァイオリンを中心とした弦楽器が展示されるイベントで、展示されるだけでなく 自由に試奏出来るという、楽器好きにとってはたまらない年に一度のお祭り(?)です。今まで一度も 行ったことなかったのですが、今年は自分の楽器が出品されたこともあってとても楽しみにしていました。

お昼過ぎに会場に着くと、なんと入り口のところでネットで知り合った方々にばったり。いやー、びっくりしました。 やはり音楽の、特にヴァイオリンの世界は狭いですねぇ。もちろんみなさんヴァイオリンを弾かれる方ですが、 やはり皆考えることは同じだったのですね(^_^;)。

着いてすぐに下のフロアで出品楽器を用いた梅津美葉さんによるミニコンサートがあったので、聴きに行きました。 会場があまり音響が良くなく、また座った席が大分後ろの方だったこともあって、音色の良さが伝わりにくい ということがありましたけど、でも良い楽器はその中でも「あ、これは違う」と思わせるものがありました。 梅津さんは表現も見た目も色っぽい演奏をしていましたね(^_^;)。

さて展示会場にもどり、楽器の試奏を開始。最初のうちはどれを弾いても「かなりいい出来」の楽器に感じました。 考えてみれば、どの製作者も自慢の作品を持ってきているのでしょうから、ある意味でそれは当然かもしれません。 でもそれを差し引いても出来の良い楽器が多いなと感じました。

まず弾いていて気になった楽器は、園田さんの楽器です(会長さんですね)。弾きやすくてバランスの良い 優等生的な楽器でした。前評判通りでしたね(^_^;)。

とても個性的だったのが、豊島さんのデルジェスコピー。見た目も音もオールドの雰囲気が出ていて、 特に音の出方のオールドっぽさには驚きましたね。

著書「海峡を渡るバイオリン」で有名な陳昌絃さんの楽器は、パワーと鳴り方と弾きやすさに脱帽でした。 陳さんはセットアップにも相当こだわってらっしゃる方のようで、あの弾き心地は素晴らしいものでした。 自分の感性に合った楽器で、今回の僕のNo.1でした(^_^;)。

海外作品では、ヤスノ・イタリアさんのところに置いてあったMorassi(Gio Battaか、Giovanni Batistaかわからず。 4台並んでいた一番右のイエローっぽい楽器)は音の張りとクリアさが素晴らしいものでした。あまり明るい音の楽器は 好きでないのですが、好みと違ってもこれならずっと弾いていたいと思わせる楽器でした。

そして、自分の楽器(^_^;)。ビオリーノ/アルシェさんのところのRebirth「ロッカモデル」として展示されていました。 なんだかああいう場に自分の楽器が展示されていると自分のじゃない気がしてしまいますね。弦は余った弦を 張っといたので、Eがコレルリアリアンスヴィヴァーチェ(新製品)、Aがドミナント、DGがオブリガート という雑多な状態・・(^_^;)。それでもこの楽器が弾かれた土曜のミニコンサートでの評判は良かったようで、 コンサートの時の音が気に入ってブースに足を運んで下さったお客さんがたくさんいたそうです。なんか嬉しいですね(^_^;)。 一応自分の楽器も弾き比べ。やっぱり弾きやすくてしっくりくる、という感覚でした。でもまだセットアップの余地も あるかなと思いました(^_^;)。同じくRebirthの「ストラドモデル」も弾いてみましたが、こちらもなかなか良かったです。 オールド独特の枯れた音になっていて、また意外と弾きやすかったです。

Bon Musica
(写真をクリックすると拡大)
その後もいろいろな楽器や、楽器だけでなく弓や小物も見て回りました。入り口近くのバイオリンアートさんのところでは、 「Bon Musica」という珍しい肩当てを見つけました。これは肩にあたる部分が大きく左に張り出していて肩の外側にまでかかる ようになっているため、肩当てが右にずり落ちないというものです。また張り出した部分やそれ以外の部分も手で自由に 曲げることが出来るので、自分の体に合わせてフィットさせることが出来るという優れものです。首の長い僕は肩当てに 苦労するのですが、お店の方が僕を見て、「首長い方は肩当て苦労しますよね?これはそういう方におすすめですよ」と言われ、 図星でした(^_^;)。

以前、リトアニア出身のジュリアン・ラクリンさんというヴァイオリニストがこの変わった肩当てを使用しているのを見て、いろいろ 調べたところ、この「Bon Musica」だということが分かりました。でもBon Musicaは国内ではあまり出回っておらず、 海外では売られているものの現物を見ないで買う勇気がなく、ずっと気になっていました。今回、幸運にも現物を試すことが出来、 また価格も海外と変わらず(ほとんどのヴァイオリン用品は国内外の価格差が大きいのです・・)、購入してみることにしました。

家に帰ってから早速ためしてみましたが、「自由に曲げることが出来る」というのは意外に曲者で、高さを変えようと思っても いろいろな方法が出来てしまうので悩みました(^_^;)。でも1時間くらいいじくりまわしていたらなんとなく良さそうなポジションを 見つけることが出来ました。そして昨日、自分の楽器が手元に戻ってきて、使い慣れたルジェーリ型のあご当てと組み合わせると もう抜群の安定感でした(^_^;)。安定しているというと楽器が固定されてしまうイメージがありますが、どこにも力をいれないで、 楽器をのせておけるという感じでしょうか。力がいらないのでとても右手も左手も楽になり、楽器の位置を自由にコントロール 出来る感じです。なんかとても弾くのが楽しくなり、昨日は夜中の2時半まで練習してしまいました(^_^;)。

それと、バイオリン工房クレモナさんの岩井さんのところでは、駒のサイドから駒をはさむ「スーパーミュート」というものを 購入しました。こちらは駒を痛めないというミュートで、取り付ける位置を高くすると(弦の近く)消音効果が高くなり、 逆に下げると(表板寄り)にすると消音効果が小さくなるというものです。でもこのミュートの最大の特徴は、駒の上にはなにも ないので、弓が弦の上を通過するポイントを目で確認しやすいということです。金属製の消音ミュートでは弓の毛がちょうどミュートの 陰になって見えなくなるので、自分の弾いているポイントが確認しにくいので、そういうデメリットがないというのが良いですね。 ただ、消音効果は金属製の消音ミュートには及ばず、ゴム製のウルトラと同じ程度でした。でもこのアイデアは素晴らしいと 思うので、ミュートの重量を増やすとか、駒との接触面を工夫するとかでさらに消音効果を高めることも出来そうですね。 自分で改造しようかな(^_^;)。

ということで、弦楽器フェア2003、とても楽しむことが出来ました。初めてこの弦楽器フェアというものを見てきたわけですが、 もっと早く知ってれば良かったと思いました。でも今回自分が行くついでに、いろいろな人にも声をかけてみたのですが、 みなとても楽しめたようでした。来年の弦楽器フェアが早くも楽しみです(^_^;)。


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