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★05/10/04 弦の張力データ(14/05/23更新)"ヴァイオリンの弦には音量や弾き心地に大きく関わる「張力」(テンション)というものがあります。一般的に張力が高いと大きな音量が出るようになり音の芯がしっかりする反面、反応が鈍くなったり弾きにくくなったりします。逆に張力が低いとレスポンスが良く音色の幅が出て弾きやすくなる(指の押さえも楽になる)反面、音量や音の芯の強さが犠牲になります。 もちろん張力だけで弦の全てがわかるわけではありませんが、現在使っている弦が自分の楽器とのあわない場合や、複数の種類の弦を組み合わせて張る場合など、張力のデータがあると少しは参考になるのかなと思います。少し前までは張力の数値を公表していないメーカーが多かったのですが、最近になってピラストロも一部の弦ですがデータを公表したようなので、トマスティーク社やダダリオ社のデータと共に簡単に表にまとめてみました。 なお黒字はMittel、Mediumなどの標準ゲージ、赤字はSterk、Heavyなどの太めの(強い)ゲージ、青字はWeich、Lightなどの細めの(弱い)ゲージになります。一般的な組み合わせであるピラストロゴールドE線+ドミナントの張力を、標準値として黄色でマーキングしてあります。 ※2015/05/23・・・エヴァ・ピラッツィ・ゴールド、ヴィジョン・ソロ、ピーター・インフェルド、ラーセン、ワーチャルなどを追加 E線
A線
D線
G線
表を眺めてみると、張力が強いイメージだったヴィジョンチタニウムのE線がそれほど強くなかったりとか、音量のあるドミナントやヴィジョンチタニウムが 最近の弦の中ではそれほど張力が高くなかったりとか、いろいろ気づくことがありますね。必ずしも同じ張力だからといって似たような特性の弦とは 限らないようです。ヴィジョンとヴィジョンチタニウムなど、ほとんど張力に差がないのに弾いてみると音量や音色、弾き心地など全く特性が違いますよね。 なお同じ弦でも太さのバリエーションがあるものがありますが、ピラストロの弦やトマスティークのヴィジョンシリーズ などはゲージによる太さの違いが比較的小さいので、太さの違いは味付けの違いといえるかもしれません。 普段オブリガートを使っていて、「音色は変えたくないけど音量が気持ちもう少し欲しい」などという場合にはオブリガートのSterkというのは良い選択肢だと思います。 しかしザイエックス(旧モデル)やドミナント、ラーセンシリーズはゲージの違いによる張力の差が非常に大きいですね。先のオブリガートなどはMittelからSterkに替えても、 「少し力強くなったかな」くらいの感覚ですが、ドミナントでMittelからSterkに替えると、「なんだこの張りの強さは!」というくらいの違いを感じます。 ドミナントやザイエックス(旧モデル)のゲージ違いの弦(SterkやWeichなど)は、元の標準の弦とは音量や音色、弾き心地など別物と思った方が良さそうです。 それにしてもザイエックス(旧モデル)は非常に強い弦ですね(特にHeavy)。全部Heavyで張ったりすると楽器にものすごく負担がかかる気がします・・・。 ドミナント+ピラストロゴールド(オブリガートスチールなどと同じ)の場合、4弦の全張力は、 7.8 + 5.5 + 4.5 + 4.5 = 22.3 kg ザイエックス(旧モデル)Heavyで4弦を統一した場合は、 9.3 + 6.8 + 6.8 + 5.4 = 28.3 kg 最後に・・。これだけ様々な弦があるので、楽器の特性に応じて弦を選ぶことで、自分の楽器にはこんな力があったのかと思うほどに 音量や音色の面で大きな改善が見られることがあります。また楽器の短所などを弦である程度カバーしたり、楽器の音を自分好みにアレンジすることも可能です。 しかし楽器があまりにアンバランスな時は、いたずらに極端な弦を張ってしまう前に調整その他をもう一度見直した方が良いかもしれませんね。 かくいう自分も音量を求めてザイエックス(旧モデル)Heavyを張ったりしたことがありましたが、この上なく弾きにくかったです(笑)。さすがに設定されている張力が強すぎたということなのか、リニューアルしたザイエックスコンポジットは常識的な張力へと変更され、使いやすい弦となりました。2015年現在はすでに旧モデルは売られておらず、入手できるのは新型のザイエックスコンポジットのみのようです。 90年代から強さと音量を求めてか張力の強い弦が数多く登場しましたが、最近ではまたソフトな弦も増えてきたように思います。選択肢が増えることは良いことですね。" |