ヴァイオリンの教則本&エチュード|Silver-tone

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はじめに

ヴァイオリンの技術向上を志す上で教則本やエチュードなどは避けては通れない教材です。本来こうしたものはレッスンに就き、先生が生徒に課題として与えるものですが、レッスンを中断しているが自分で学習したい人、レッスンに就いているが自分でも勉強したい人、などにとっては教則本やエチュードの知識を身に付けておくに越したことがありません。そこでここではこれら教則本、エチュードについて触れてみたいと思います。

教則本とエチュード

さて教本、教則本、エチュードなどといわれるものは大きく分けて2種類あります。一つは学校の教科書のように、ちょっとした説明文と共に音階から練習曲、楽曲までが載っているもので、このサイトでは「教則本」として扱っていきます。もう一つは学校の問題集やドリルのように、ただひたすら練習曲が並べてあるもので、このサイトでは「エチュード」とします。これらのネーミングが正しいかどうかは??ですが、このサイトでは便宜的にそう呼ぶことにします。またこれらとは別に音階教本というものもあります。

教則本について

「教則本」は国内版としても多く出版されており、楽器店などにもよく置いてあります。内容は身に付けるべき課題の簡単な説明文を読んだ後に基礎練習があり練習曲を経て楽曲に応用するというスタイルで、その後新たな課題が出ると再び説明文からという繰り返しになっています。順を追って進んでいくことで自然と必要な技術を身につけられるので、初めての方でも学びやすいといえるでしょう。代表的な2つの教則本を紹介しておきます。

  • 鈴木ヴァイオリン指導曲集
    もはや定番ともいえる教則本。全10巻にて構成されており、とにかく多くの曲をこなしていくタイプ。巻が進んでも難易度の上昇はゆるやか。1巻は初めての方向けで、最終の10巻は中級者向け(モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番)。難易度上昇がゆるやかなのは良いが曲数が多すぎるため巻や曲を飛ばして進めることが多い。当教室でも必要に応じて使用。


  • 新しいバイオリン教本
    こちらも有名。全6巻であるが、巻が進むにつれて難易度の上昇は著しい。1巻が初めての方向けというのは同じだが、4巻の後半から難易度がぐっと高くなり6巻はかなりの上級者でないと弾けないような曲がならんでいる(ヴィニアフスキの華麗なるポロネーズ第1番やパガニーニのモーゼ変奏曲など)。そのため4巻くらいで教本を終えてその他のソナタやコンチェルトに進む場合も。当教室でもメイン教材として使用。
  • この他には、篠崎バイオリン教本、ゼーリング、ホーマンなどもあります。

    エチュードについて

    「エチュード」は練習曲集であり、問題集的色合いが強いものが多いです。「教則本」は最初のページから順を追って進めていくのに対し、エチュードでは現在のレベルや課題に応じて収録されている曲の中から必要なものを取り出して使うというようなスタイルになります。最初は教則本と並行して進めていき、教則本を卒業したあとはより高いレベルのエチュードへと取り組んでいきます。個人差はありますが、おそらく鈴木バイオリン教本を卒業した段階で取り組んでいるのはクロイツェルの前半くらいになるでしょう。

    エチュードの収録曲は必ずしも難易度順に並んでいるわけでありません。それぞれの曲には学ぶべきテーマが決められていて、通常は先生が生徒のレベルや問題点をよく観察して、生徒に合った曲をエチュードの中から選び課題として渡すようにします。ある程度のレベル(上級者)になれば自分でエチュードを選択して自らに課題を与え、学んでいくことも出来ます。

    また、必ずしも上級者だからといって難易度の高いエチュードを使ったほうが良いともいえず、かの巨匠レオニード・コーガン氏はカイザーとクロイツェルで十分だと言い切っています。私もいまだにクロイツェルはもちろんカイザーを使って練習をすることがよくあります。

    代表的なエチュードを簡単に紹介します(難易度順)。

  • カイザー 36の練習曲 作品20
    第1集(1〜12) 第2集(13〜24) 第3集(25〜36)

    おそらく最初に取り組むことになる定番エチュード。前半は第1ポジションのみ。とはいえ全くの初心者には難しく、教則本をある程度進めてから始めるようにする。また上級者にとっても良い練習がたくさん詰まっている。音楽的にも単調でなく、楽しく学ぶことが出来る。当教室でもメイン教材として使用。初級〜中級


  • ドント 24の練習曲〜クロイツェル・ローデへの予備練習曲 作品37
    カイザーの次に取り組む定番エチュードは次のクロイツェルであるが、少々技術的なギャップがあるのでこのドント作品37が予備練習曲として使われることもある。中級


  • クロイツェル 42の練習曲
    中級者以上に用いられる定番エチュード。非常に良い教材でヴァイオリンの技術を習得する上で欠かすことの出来ないエチュード。クロイツェルをきっちり練習して完全にマスターすることが出来れば、ヴァイオリンの技術のかなりの部分をマスターしたといえる。カイザーと比べると音楽的にはやや単調ではあるが、和音進行などはそれなりに楽しい。当教室でもメイン教材として使用。中級〜上級


  • ローデ 24のカプリース/ガラミアン
    クロイツェルのやや上位に位置するエチュード。音大の受験生などが取り組むのに良い教材。メロディックで音楽的にも非常に魅力的であり、学習用の教材で終えてしまうのはもったいないと思えるほどで、機会は多くないがコンサートなどで採り上げられることも。当教室でも必要に応じて使用。上級


  • ドント 24の練習曲とカプリース 作品35
    より高いレベルの技術習得を目指したエチュード。この作品に取り組むことで高い基礎技術と応用力を身につけることが出来る。やや無機質で機械的ではあるが、非常に重要な練習も多く盛り込まれている。上級


  • パガニーニ 24のカプリース 作品1
    代表的なエチュードの中では最も難しい。生半可な技術では一曲も弾くことすら出来ないが、これらに取り組み克服することにより得られるものは大きい。またこのカプリースは音楽的な価値がある作品でもあるため、超絶技巧を披露する無伴奏曲として、またアンコールピースとして演奏されることも多い。CDも数多く録音されている。最上級
  • またこれらとは少々色合いが異なるものとしてシェフチック(セヴシック)のエチュードもあります。

  • シェフチック ヴァイオリン技法教本 作品1〜9
    一部リンクしておきます

    ヴァイオリン技術習得の目的別に細分化されているエチュード。教則本が教科書、他のエチュードが問題集だとすると、これは辞書もしくは参考書のような存在。明確な目的をもって編集されているので必要なところを抜き出して用いれば大変効率の良い練習が出来るが、反面音楽的要素に乏しく、初心者が取り組むには根気が必要であり、また教師の指導が必須。上級者においては効率的な練習課題として有用。左手の基礎トレーニングのOp.1-1、ポジション移動のOp.8などがよく使われる。当教室でもメイン教材として使用。
  • 以上のエチュードについては詳しい解説、練習方法の例を紹介する予定です。(予定は未定です・・・)

    音階教本について

    この他、エチュードとは別に音階教本といわれるものがあります。スケール(音階)は左手の基本であり、一日の練習において かならず一度は取り組むべきものです。こちらも代表的なものを紹介しておきます。

  • フリマリー 音階教本
    初級者向けの音階教本。カイザーなどのエチュードと併用することが多い。初心者の場合、「パターン覚えたら楽譜無しで毎日2オクターブの音階を調を変えて弾く」のような指示では指使いなどに悩んでしまうが、フリマリーは楽譜にいろいろな調やパターンが丁寧に書かれている。自分で音階や指を決められなくても書かれたとおりに弾くだけで様々な練習をすることが出来る。


  • フレッシュ 音階教本
    中級者以上の音階教本の定番。1弦上でのスケールとアルペジオ、3オクターブのスケール、アルペジオ、半音階、3度、6度、オクターヴ、フィンガードオクターヴ、10度、というように必要なスケールの要素が網羅されている。調ごとに編集されており、またシェフチックのボウイングスタイルが盛り込まれている。しかし最初から登場する1弦上でのスケールとアルペジオは難易度が高く、やや敷居が高いスケール。


  • 小野アンナ 音階教本
    こちらも音階教本の定番。フレッシュとは違い、3度のスケール、オクターヴのスケールなどのタイプ別に編集されている。そのためシェフチックのように必要な部分を取り出して使うスタイルになる。一曲が非常に短い(4小節など)ので、練習時間が取れない場合はフレッシュよりも効率的。
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