ヴァイオリンの技術向上を志す上で教則本やエチュードなどは避けては通れない教材です。本来こうしたものはレッスンに就き、先生が生徒に課題として与えるものですが、レッスンを中断しているが自分で学習したい人、レッスンに就いているが自分でも勉強したい人、などにとっては教則本やエチュードの知識を身に付けておくに越したことがありません。そこでここではこれら教則本、エチュードについて触れてみたいと思います。
さて教本、教則本、エチュードなどといわれるものは大きく分けて2種類あります。一つは学校の教科書のように、ちょっとした説明文と共に音階から練習曲、楽曲までが載っているもので、このサイトでは「教則本」として扱っていきます。もう一つは学校の問題集やドリルのように、ただひたすら練習曲が並べてあるもので、このサイトでは「エチュード」とします。これらのネーミングが正しいかどうかは??ですが、このサイトでは便宜的にそう呼ぶことにします。またこれらとは別に音階教本というものもあります。
「教則本」は国内版としても多く出版されており、楽器店などにもよく置いてあります。内容は身に付けるべき課題の簡単な説明文を読んだ後に基礎練習があり練習曲を経て楽曲に応用するというスタイルで、その後新たな課題が出ると再び説明文からという繰り返しになっています。順を追って進んでいくことで自然と必要な技術を身につけられるので、初めての方でも学びやすいといえるでしょう。代表的な2つの教則本を紹介しておきます。
この他には、篠崎バイオリン教本、ゼーリング、ホーマンなどもあります。
「エチュード」は練習曲集であり、問題集的色合いが強いものが多いです。「教則本」は最初のページから順を追って進めていくのに対し、エチュードでは現在のレベルや課題に応じて収録されている曲の中から必要なものを取り出して使うというようなスタイルになります。最初は教則本と並行して進めていき、教則本を卒業したあとはより高いレベルのエチュードへと取り組んでいきます。個人差はありますが、おそらく鈴木バイオリン教本を卒業した段階で取り組んでいるのはクロイツェルの前半くらいになるでしょう。
エチュードの収録曲は必ずしも難易度順に並んでいるわけでありません。それぞれの曲には学ぶべきテーマが決められていて、通常は先生が生徒のレベルや問題点をよく観察して、生徒に合った曲をエチュードの中から選び課題として渡すようにします。ある程度のレベル(上級者)になれば自分でエチュードを選択して自らに課題を与え、学んでいくことも出来ます。
また、必ずしも上級者だからといって難易度の高いエチュードを使ったほうが良いともいえず、かの巨匠レオニード・コーガン氏はカイザーとクロイツェルで十分だと言い切っています。私もいまだにクロイツェルはもちろんカイザーを使って練習をすることがよくあります。
代表的なエチュードを簡単に紹介します(難易度順)。
またこれらとは少々色合いが異なるものとしてシェフチック(セヴシック)のエチュードもあります。
以上のエチュードについては詳しい解説、練習方法の例を紹介する予定です。(予定は未定です・・・)
この他、エチュードとは別に音階教本といわれるものがあります。スケール(音階)は左手の基本であり、一日の練習において かならず一度は取り組むべきものです。こちらも代表的なものを紹介しておきます。