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Archet TO Solo

以前はアルシェのSA1005Sという非常にコントロール性の良い弓を使っていたのですが(現在のSA1006に相当)、音のクリアさ、レスポンス、パワーでもう少し良いものが欲しいと思い、2000年かその少し前頃に見つけたのがこのTO Soloです。

弓選びの時にはいろいろな弓を弾いたのですがあまりピンと来るものがなく、またの機会にしようかと思っていたところ、最後に「これはどうですか?」といって出されたのですが、弾いた瞬間からこれだと思いました。レスポンスの良さが素晴らしく、意図したとおりの音がすぐに出せたのです。

それまで弾いた弓は、力強いけど音が荒かったり、音は非常にしっとりとしているけど芯がない、などなかなか絞り込めませんでしたが、この弓は弾いてすぐに手放したくないと思いました。値段を聞いて予算をかなりオーバーしていたので悩みましたが、もう心は決まっていたので気づいたら購入の手続きをしていました。

この弓はアルシェのシリーズの中でも一番上のグレードに位置するものだそうですが、同じトルテのソロモデルといってもいろいろなモデルがあるようで、この弓はその中でも少々変わったモデルです。トルテの中期のものをモデルにしたとのことで、同じタイプの弓はあまり見ませんね。製作者はVSAでの入賞歴のある中西秀明さんです。

この弓はやや細身のシャープなフォルムですが、非常に密度の高いしっかりとしたスティックで非常に強さがあります。一度は強すぎて中西さんに「少し反りをゆるめてもらえますか?」とお願いしたほどです。

フロッグおよびヘッドはやや低めで、スティックと弓毛の距離が近く重心が低い感じがします。スティックの強さもあって非常にレスポンスが良く、音の立ち上がりがシャープです。強さがあるためにパワーもありますが、強い弓なのに音に荒さがなくクリアなのも印象的でした。とにかく右手の動きやニュアンスに忠実に、というか非常に素早くついてくるような弓です。

しかし万能な魔法の弓というのは当然ないわけで、欠点もあります。まずはコントロール。非常にシャープな弓なのですがスイートスポットが狭いのです。特に跳ばしや速いボウイング、和音などでは他の弓では音にならないようなコントロールの乱れが、この弓だと確実に音に出てしまいます。ちょっとでもぶつけるとガツガツと雑音が入りますし、サラサーテのバスク奇想曲に出てくるような3〜4和音を、つぶさずにフォルテで激しくスピッカートしたりするのは非常に難しいです。

この弓を弾いたほとんどの人が「この弓は自分には合わない」と言います。が、この弓は奏者に繊細なコントロールを求めてきますので、この弓で練習してたら上手くなるんじゃないかな、なんて思ったりもします。

あとはやはりオールド材を使っているとはいえ、オールドボウのようなダンピングの利いたしっとりとした音色に比べると新しい音がします。これはどうやってもひっくり返せないものですね。しかしオールドボウの多くが実用的なコンディションから外れてしまっており、本当に「使える」良いコンディションの弓は何倍もすることを考えれば、中途半端なオールドでなくこの弓を選んだのは正解だったのかなと思います。実際、今までこの弓から乗り換えたいと思った弓は到底手が出るような価格ではありませんでしたから・・。

もうこの弓は10年近く使っておりますが、今ほかに弓が欲しいとしたら、その「到底手が出るような価格ではない弓」か、もしくは全く別路線でアウクスのドライカーボン「カデンツァ」あたりでしょうか。

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