今度はボウイング(右手)についての基本中の基本です。あえて応用的な内容は 避けておりますので、中級者以上にとっては当たり前すぎる内容であることを あらかじめ断っておきます。
ボウイングとは右手に持った弓でいかにして音を出すか、ということですが、ただ音を出すので あればそれほど難しいものではありません。しかしより良い音を出したい、弓を 自在に操って難しい曲に挑戦したい、というときにはボウイングの技術が非常に 重要です。
ボウイングで重要なことはいくつかありますがここでは簡単に説明して、各々の 詳細は後で一つ一つ取り上げてみます。
まず弓を弦と直角にまっすぐ弾くことが 重要です。もともと円運動しかできない肩から先の関節を複雑に組み合わせて弓を まっすぐに動かそうとしているのだから難しいのは当然です。鏡等を見ながら 繰り返しまっすぐ弾く練習をします。鏡を見るときは鏡に正対するのではなく左を向き、 鏡に映したときに弦と弓の直角が確認できるようにします。
次に弓の毛と弦の接触点ですが、指板の切れ目と駒の中央付近を弾く ようにします。指版よりを弾いてしまうと弱くはっきりしないあいまい な音になり、駒の近くを弾くとざらついたきつくて汚い音になってしまいます。 音がきれいに出ない時はまず最初にこの接触点を確認するようにします。
今度は弦に対する弓の圧力ですが、決して人差し指で弓を弦に押し付けては いけません。あくまでも弓の重さに右手の重さを少し乗せるイメージです。 重さは重すぎれば音はつぶれ、軽すぎると中身のない乾いた音になってしまうので 最も楽器が響くポイントを探してみてください。接触点と違って圧力は目で見えないので 音の変化を感じ取る耳が全てです。
弓の量ですが、最初のうちはとにかくたくさん弓を使うことを心がけます。 どうしても弓のコントロールに自信がないと弓が乱れないように弓の量をセーブ してしまいがちですが、少なすぎる弓の量は音量、音色、表現力すべてに 悪い影響を与えます。ただし、成長途中の子供で大き目のヴァイオリンを手にして いる場合は弓も体に対して長いので、先のほうまで無理して使うことはありません。
いったんここまででボウイングにおいての注意点を簡単にまとめておきます。
それでは、もうすこしボウイングについて突っ込んだ話をしていきましょう。