今度は下行音階を説明しましょう。上行音階と違い、下行音階では二通りの指の動きが あります。一つは指を離す、もう一つは指を入れ替えるという二つの動作です。前者は1,2,3,4と全部押さえた 指を4,3,2,1と順に一本ずつ離していく動き、後者は4,3,2,1というのをピアノのように弾いている指一本のみを押さえて 順次入れ替えていく(4の時は4の指だけで押さえ、3に移る時は4を離すと同時に3を押さえる)という動きに なります。音色、指の効率、レガートでの発音の面で前者の動きが望ましいといえますが、前後の指使いや ヴィヴラートによって後者の入れ替え動作になってしまうこともあります。
さてそれでは指を離す時のポイントですが、基本的に指を置くときのポイントと同じように考えて 下さい。押さえている指の力をスッと抜くと同時に反動で指がポンと弾かれたように持ち上がるイメージです。 そして指は元の位置に戻ります。スラーなどでは指を離す速度も重要ですが、かといって力をいれて「エイヤッ」 と指を弦から引き剥がすようにするのがダメだというのは指を置く時の注意と同じです。
下行音階においてはなるべく指を離す動きが良いと書きましたが、離す動きを行うには常に一つ下の指を 押さえていなければなりません。1,2,3,4,3,2,1のように、4の指を押さえた時に全部の指が押さえてある時は 何の苦労もないのですが、(A線)4,3,2,1、(D線)4,3,2,1のように移弦を伴う下行音階だと、D線に移った時 4の指一本になってしまって以降指の入れ替えで弾いてしまう人が多いです。次の項では移弦を伴う下行音階に ついて触れましょう。