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2-9. 右手編〜指弓

指弓は、弓を持つ右手の指がボウイングに応じてやわらかく動き、滑らかな ボウイングとなる助けとなるものです。手首から先が万力のように弓を固定していては 良いボウイングは出来ません。肩、肘、手首、指、の全てが柔軟に動くことで初めて 滑らかなボウイングが可能となります。

なおこの指弓ですが、文字でしか見たことのない方は「ゆびゆみ?しきゅう?ゆびきゅう?」などと 読み方がわからないかもしれません。正式名称があるわけではありませんが、一般的には「ゆびゆみ」と 読みます。

指弓を練習したことのない人にとっては、弓を持った状態で指の曲げ伸ばしなどをするのは 非常に困難です。そこでまずは指弓のための準備運動から。

準備運動1

最初は弓を持たない準備運動から始めましょう。まず親指と中指で輪を作り、他の3本の 指を中指に並べます。この状態で親指と中指のつなぎ目を中指の付け根に引き寄せる(写真左)、逆に 突き出す(写真右)、という指の運動を交互に行います。このとき常に人差し指、薬指、小指が中指 とそろって同じ動きをするようにしてください。一見簡単そうに見えるこの運動も最初は ぎこちなくなってしまうと思いますが、テレビを見ながらでも良いので暇を見つけて 動かしているうちにぎこちなさが取れてやわらかくなってくるはずです。

準備運動2

次は弓の代わりに鉛筆を持った練習をしましょう。鉛筆は軽いですし、どこでも練習でき ますね。まずは弓を持つときの正しい持ち方で鉛筆を持ってみます(写真左)。そしてさっきと同じく 鉛筆の軸を引き寄せたり遠ざけたりという運動をしてみます(写真中、右)。鉛筆を持つと指同士の位置関係が 束縛されるのでさっきよりも動かしにくくなると思います。慣れないうちは左手で右手の 甲を持ち、手首が動かないようにすると良いです。

準備運動3

今度は鉛筆を傾ける練習をしましょう。人差し指と小指を互い違いに上げ下げして移弦する イメージで傾けます(指だけでG線の傾きからE線の傾きを再現する感じ・・・写真上)。出来たら鉛筆を 水平方向に傾けます。人差し指と小指を交互に手前および向こうに伸ばし、弓の向きを斜めに するイメージです(写真下)。

準備運動4

次に鉛筆を回してみます。親指と他4本の指でころころ転がすイメージです。弓の毛を 立てたり寝かしたりという運動です。

準備運動5

さて鉛筆での準備運動の最後です。これがもっとも重要な運動になります。今度は鉛筆を進行方向に 向けて前後に動かします。この運動は慣れないとなかなか難しいもので、おそらく最初は ほとんど動かすことが出来ないと思います。しかし上の1〜4の準備運動をある程度の 期間やっていれば指の曲げ伸ばし、間接の回転を上手く組み合わせて鉛筆を前後に動かす ことが出来るようになります。この時の指の動きが指弓に最も近いものです。

準備運動6

とうとう弓を持った練習に移ります。弓を持って垂直に立て、上の1〜5の練習をします。 重さがある分だけ鉛筆よりも思うように動かしにくいはずです。特に3と4は弓先の 重みを感じることと思います。次に弓を立てて持ったまま上下に弓をゆすって見ます。 指をやわらかくして、弓の重さで指がしなるように動くことが大切です。

準備運動7

今度は弓を水平にして持ちます。弓の重みがずっしりと小指にかかってくると思います。 この状態で1〜5の練習をします。ここで注意すべきことは、重みに耐えるために小指を 突っ張ってはいけないということです。むしろ大きく曲げておくべきです。この練習は 元弓でピアニッシモのまま弓を返さなければいけないときをイメージしています。

・指弓(写真はポーズ状態で撮ったので若干不自然であることをご了承ください)

さて準備運動が終わったところで実際の指弓の練習に入ります。A線かD線でボウイングを するのですが、ダウンの時には指が全体的に縮んで手が小指方向にかしぐ(写真中)、アップの時 には指が全体的に伸びて手が人差し指方向にかしぐ(写真右)、ということを意識して弾いてください。 最初は意識して手の形を作るようにし、慣れたら力を抜いて手が弓を引っ張る時に指が自然としなる ようにします。これが指弓です。指はあくまで動かすのでなく、動かされるのです。 元で弓を返す時は弓を返す寸前まで弓を人差し指方向に引っ張り(指が伸びた形をキープ)、 返す瞬間に肘〜手首〜指へとなめらかにダウンの形へと移行します。先弓での返しも ほぼ同じです。しかし元弓では弓の重さが小指にずっしりとかかってくるため、 なめらかに指を動かすのが難しくなります。

補助運動1

今までの練習に加えて指を動かす補助練習を紹介しておきます。まずはひじ、手首の高さを 一定にしてダウンはD線、アップはA線を弾きます。つまり指の伸縮だけで移弦をするわけです。 このときに指を上手く使って弓の毛が寝たり起きたりしないようにします。



補助運動2

続いて今度は腕〜手首を完全に固定し、指だけで弓をストローク(数センチ)させる練習 です。弓を1センチくらいずつに区切ってダウン4回、アップ4回のようにしたりなど バリエーションを増やすことも出来ます。

以上、ボウイングの基礎について書いてきましたが、ボウイングの実践的な奏法にはスピッカート、ソーティエ、マルテレ、 マルテレスタッカート、リコシェ、など様々な奏法があります。しかしこれらは全て 基礎があってこそ実現できるものです。これらのボウイングについてはまた機会があれば 書いていきたいと思います。

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