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3-12. 左手編〜ヴィブラート

ヴィヴラートとは弦を押さえている指を周期的に揺らすことにより音に細かな上下の波を与えることです。(ヴァイオリンの場合は音程が 上下するのでピッチヴィヴラートなどと言います) ヴィヴラートは音色に潤いや豊かさを与え、楽曲の演奏においてより幅広い表現を 可能とします。またヴィヴラートは最も個性が発揮されるところでもあります。

だれもが美しいヴィヴラートに憧れるものですが、その習得にあたっては非常にとっつきにくいものでもあります。なぜなら他の技術などに くらべてヴィヴラートは感覚的な部分が大きく、また個々の手の大きさや形、筋肉、さらに神経によってかけやすいヴィヴラートの形が みな違いますし、さらにややこしいことに弾き手側の「こういうヴィヴラートをかけたい」という要求がバラバラだったりするわけです。 つまり、「ヴィヴラートはこうかけるべきだ」と言ったとしても、それを全ての人に当てはめることは出来ないのです。

とはいってもヴィヴラートの基礎知識、かける上でのポイント、練習する上での注意事項というのがあります。ここではそういったことを採り上げて いきます。まずはヴィヴラートの種類から。

ヴィヴラートには腕のヴィヴラート、手首のヴィヴラート、指のヴィヴラートと大きく分けて3種類のヴィヴラートがあります。部分的にしか 用いられない指のヴィヴラートを除き、一般的には腕、もしくは手首のヴィヴラートがよく使われます。腕、手首の双方のヴィヴラートを 使いこなせることでヴィヴラートの幅は広がりますが、ほとんどの人は腕もしくは手首どちらかのヴィヴラートのみを用いています。一流の 演奏家でさえもそうですし、練習を積めばどちらかのヴィヴラートのみでも十分な表現が可能です。

腕のヴィヴラートはひじ関節の伸縮を弦に置かれた指がその角度を変えながら伸縮し、さらに左右に動くことでかけられます。 つまりひじの関節の動きがヴィヴラートを生み出すわけで、決して腕を硬直させて一本の棒にしてはいけません。腕の力を抜き、ひじと指のリラックスが必要です。 手は弦に対して平行からやや反時計回り方向に振動します。つまり体に対しては左奥から右手前に斜めに動くわけですが、このときひじは 前後の伸縮と共に左右に動きます。この左右の動きは手の動きを打ち消すかのごとく互い違いになります。 もっとも、意識してそのように動かすものではありませんが、鏡で正面から自分の 姿を映したときにひじが上手く動いているかを確認する方法の一つです。 また手首は基本的には動かしませんが、次の手首のヴィヴラートもマスターしている場合は腕でヴィヴラートをかけにくい部分を手首の動きで 補うなどということもできます(私はよく使います)。

手首のヴィヴラートは文字通り手首から先を揺らしてその動きを指に伝えるわけですが、この時手首の位置を微妙に変化させることでヴィヴラートの かけやすい位置を見つけられると思います。しかし極端に手前や奥に倒れている(手の甲が水平および垂直になっている)というのは フィンガリングや弦に置かれる指の角度に影響するので、気をつけなくてはなりません。また、この手首のヴィヴラートでは手首をやわらかく して自由にしておくことは言うまでもありません。

指のヴィヴラートは補助的に使われるヴィヴラートで、腕、手首でかけにくいところに部分的に 用いられます。ですのでこのヴィヴラートに取り組むのは腕、手首のヴィヴラートを完全に習得してからでも遅くありません。 指のヴィヴラートとは手首のヴィヴラートに似ていて、手首ではなく指で揺れを与えます。指の関節の動く量はごく小さいので 実際には手首も若干動きますが、揺れを与えるのはあくまでも指になります。このヴィヴラートを1stポジションでかけてもほとんど 効果はありませんが、腕、手首のヴィヴラートがかけにくいがヴィヴラートの幅が小さくて済む、E線のハイE(開放弦の2オクターヴ上)以上などで 有効です。なお、この指のヴィブラートですが、自己流でヴィブラートを習得しようすると指のヴィブラートになってしまうことが 多いです。指を動かすんだという意識を持っているとどうしてもそうなってしまうようです。矯正には腕のヴィブラートが早道です。

次にヴィヴラートをかける上でのポイントです。

まずはピッチについてですが、ヴィヴラートは元の音に対して上下均等にかけると高い方の音を 強く感じるため(人間の耳は高い音に敏感)、音程が上ずったように聞こえます。そのためヴィヴラートをかける時は低い音寄りにかけるように します。
 波形を分析すると前途の記述は間違いで、実はほぼ上下均等にかかったところを実際には音程と認識するそうです。 しかしそもそもヴィブラートは耳で心地よいと思える音程にかけるものですので、心地よい音程よりも無理にあえて低く、あるいは高く、あるいは 上下均等にかけるなどと意識する必要はありません。自分の耳で聞いて心地よいと思える音程(無意識にそうしていると思います)になっていれば良いのです。 もちろん人によって感じ方の違いはあるので高め低めはあると思いますが、それが他人から不快と感じられるものでない限り無理に矯正 する必要はありませんし、むしろ個性と呼んでも差し支えないでしょう。ちなみに個人的には上ずるヴィブラートはヒステリックに聞こえてしまい、 上ずるのは好みでないので少し下向きにかけるようにしておりますが、華やかで明るい開放的なメロディでは無意識に上ずってしまうことがよくあります。

ヴィヴラートの速度は最も個性が生かされるところです。一流のヴァイオリニストでも速いヴィヴラートのレーピン、ハイフェッツ、 遅いヴィヴラートのシェリング、クレーメルなど様々です。どちらの方が好みかというのはその人の感性によるところが大きいので、 ある程度の範囲内であれば自分の好みの速度でヴィヴラートをかけるのが良いと思います。もっとも、あまりに遅いヴィヴラートは 音程が不安定で気味が悪く聞こえますし、速すぎるヴィヴラートは過度の緊張感を与え耳障りに感じますので、極端な速度は避けたほうが 無難でしょう。

またヴィヴラートの速度というのは個性の他に、曲のテンポ、曲想、などで変化します。一般的にフォルテ、速いテンポ、高い音、強い緊張感 を伴うフレーズなどではヴィヴラートも速くなりますし、その逆も同様です。振幅の幅はフォルテ、低い音で大きくなり、ピアノ、高い音で 小さくなります。(特にハイポジションでは指の動きに対する音程の上下が大きくなりますので指の振幅そのものは必然的に小さくなります。) これらは意識せずとも自然とそうなるものですが、いつも同じヴィヴラートをかけている場合は意識してヴィヴラートに変化をつけてみることで ヴィヴラートの表現の幅を広げられるでしょう。

ヴィヴラートの表現の幅を広げるのに重要なのが弦を押さえる指の角度です。指を立てると弦を押さえるのは指先に近いところになり、発音ははっきりとしますが 振幅の小さなヴィヴラートになります。逆に指を寝かせると指の腹の方で弦を押さえるので、振幅の大きな豊かでやわらかなヴィヴラートになります。 初心者の時に先生から「指を立てなさい」と教わり、そのままヴィヴラートの時も指を立てたままという人が多いですが、指先では 弦に触れる面積が小さいためどうしてもヴィヴラートの振幅が小さくなりがちです(特に4の指はもともと指が細いため、指を立てた状態だと どんなに指を動かしてもヴィヴラートがほとんどかからない)。そういう場合は一度指を寝かしぎみにしたヴィヴラート を試してみることをお勧めします。そして美しいヴィヴラートを得るには寝かしたり立てたりして最もよい指の置き方を見つけ出し、また 様々な指の角度と弦を押さえる指の部位を使い分けられるようにすることが重要です。

ヴィヴラートは全ての音にかけることが出来るわけではなく、16分音符の速いパッセージにかけることは不可能です。しかしかけられるか否かという 問題とは別にヴィヴラートを意識的にかけないようにすることがあります。ピアノでノンヴィヴラートを用いると澄んだ透明感のある フラジオレットにも似た効果をあげることが出来ます。またフォルテのフレーズでもヴィヴラートの中にノンヴィヴラートの音を おりまぜることで独特の緊張感を生み出されます。

逆に通常かけないところにあえてヴィヴラートをかけるという方法もあります。モーツァルトの美しい16分音符のレガートなどで そのレガートのメロディを歌わせるために全部の音にヴィヴラート(ほとんどかかってはいないのですが)をかけたり、 アクセントのついた速いデタッシェのパッセージでアクセントの音に強いヴィヴラートをかけることでアクセントをより強調したり (左手の急激な動きにつられて右手のアクセントの動きが大きくなるという効果もあります)、また有名なのが ブルッフのコンチェルトの出だしでG線開放弦の音にヴィヴラートをかけるために、倍音であるD線のG(3指)を押さえヴィヴラート をかけることでG線の響きにヴィヴラートのような効果を得ることも出来ます。

最後にヴィヴラートの練習についてです。

ヴィヴラートの習得には指を弦の上に軽く乗せるだけにし、親指やその他左手の付け根もネックに軽く触れるだけにし、 手をゆっくり揺らして指を弦の上で滑走させることからはじめます。 最初はヴィヴラートをかけやすい2か3の指で、メトロノームを 60あたりにセットして一拍ごとに音程が下がったり戻ったりするように手を揺らします。慣れてきたら指の圧力を加えていき動きを小さく していきます。指の圧力が増えるに従い、弦との摩擦で指先の滑走が止まり、かわりに指が屈曲して腕の揺れを吸収するようになります。 指に力が入っていると指が屈曲せずに腕の動きを止めてしまうか、指が弦の上を滑り続けてしまいますので、圧力を加えつつも指の力を 抜くことに集中するようにします。

指の圧力を増やし、動きを小さくしつつ一拍の中で2回、3回という風に揺らしの回数を増やしていきます。 5〜6回くらいだと遅めのヴィヴラート、10回くらいだと速めのヴィヴラートというところでしょうか。最初から速いヴィブラートを 目標にせず、少し遅いくらいのヴィブラートを身につけるつもりの方が良いです。

なお、ヴィヴラートを習得していても細かすぎるけいれんのようなヴィヴラートになってしまっている人も上記の方法でゆっくりから はじめてみることをお勧めします。逆にゆっくりすぎる場合は手に若干の緊張感を与えれば速いヴィヴラートは達成できますが、 安定したヴィヴラートを求めるならば上記の方法で現在の速度からだんだん速くしていく練習をします。

それからなかなかヴィヴラートが身につかないという人へ。ヴィヴラートの習得はどれだけヴィヴラートをかけたか(あるいはかける努力を したか)によるところが大きいです。つまりヴィヴラートがかかってもかからなくても、曲を弾く時に長い音には出来るだけヴィヴラートを かけるように意識します。最初のうちはヴィヴラートをかけても安定せず、ヴィヴラートをかけない方が良い音になっている場合も多い のですが(笑)、それでもヴィヴラートをかける努力を惜しまなければやがては美しいヴィヴラートを得られることでしょう。

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